小児矯正で使うヘッドギアにはどんな効果があるの?
小児矯正治療で使用するヘッドギアは顎外固定装置の1つであり、動かしたくない歯を固定するため加強固定装置とも呼ばれます。ヘッドギアは口の中に装着するフェイスボウや首や頭に装着するバンドとキャップから構成されており、お子さまの顎の発育のコントロールと上顎前突(出っ歯)を抑制する効果を持っています。
上顎の第1大臼歯をヘッドギアで固定して力を加えることで、(上顎の)成長抑制をはかります。こうして、過度な上顎の成長をおさえることで下顎との成長バランスを調整し、噛み合わせを整えることができます。また、奥歯が前方に出すぎることを防ぎ、永久歯の生えるスペース確保を行なうこともヘッドギアの重要な役割なのです。
乳歯が早期に抜けてしまったお子さまの第1大臼歯は、支えがなくなった状態では前方に傾いてしまうことがあります。その状態では適切な位置に永久歯が出てこなくなり、結果的に歯並びが悪い状態で生え揃ってしまうことになります。そして、歯並びの悪い状態では歯の重なりができることで歯磨きが行き届かず虫歯になる確率が大幅に上がります。さらに、上手く噛めないことによって顎の成長が不適切になるなど、一部の歯へ負担が集中することによる腔内トラブルを招く可能性が増すのです。
上記のようにならないために、ヘッドギアを使用して正しく成長を導いてあげることが重要です。症状によって装着期間は異なりますが、ヘッドギアは1日17時間以上で8~18ヶ月の間装着することが必要といわれています。成長をうまくコントロールできるよう、家にいる間や就寝中もしっかり装着しておかなければなりません。適切な装着時期は上顎骨の成長が盛んな7歳~8歳で、矯正器具と合わせるとより綺麗な歯並びに導くことができます。成長が緩やかになるとヘッドギアの効果が弱くなってしまうため、ヘッドギアが使用できる年齢は遅くても10歳頃までとなります。
成長の仕方には個人差もあり、なおかつ治療開始時期によって効果の出方は異なりますので、お子さまの口腔内の状態をしっかり確認したうえで、早めに対応を行なうことが重要です。