インプラントにしたら虫歯にならないの?
虫歯は虫歯菌が歯のエナメル質を溶かして、象牙質まで進行することで痛みを感じ、神経まで細菌感染した場合には体に様々な影響を及ぼす病気です。
しかしインプラントは天然歯と異なり、エナメル質で構成されていません。顎の骨に埋め込むインプラント体はネジ状のチタン、結合部分は金属、人工歯はレジンやセラミックなどを使用しているため、虫歯菌の酸では溶けることはありません。そのため、インプラント自体は虫歯にならず、インプラントを埋め込む際に神経も取り除いているため、神経が細菌感染の影響を受けることもありません。
ただし、インプラントそのものは虫歯になりませんが、それ以外の病気に注意が必要となります。インプラント特有の病気にインプラント周囲炎があり、インプラント治療後にもっとも注意するべき病気です。通常の歯周病と同じような症状ですが、人工歯は天然歯と比べて抵抗力が低く、人工物なので自然治癒力もありません。神経を取り除いているため自覚症状が出るのも天然歯より遅く、痛みや違和感が出た時には重症化していることも少なくありません。
一度細菌感染を起こすと急速に骨吸収が進み、完治することが難しくなるため、インプラントを長持ちさせるためには日頃のセルフケアと歯科医院でのメンテナンスが重要になります。インプラント周囲炎を起こす原因は日頃の歯磨きが行き届いていないことで、歯垢がインプラント周辺の歯垢ポケットに溜まってしまうことです。適切なブラッシングを行なうことで予防ができるため、歯科医院でブラッシング指導を受けることをおすすめします。
また、自覚症状が出にくく、患者さま自身で歯周病なのかどうかの判断ができない場合がほとんどです。インプラント部分だけでなくその周辺にある天然歯の健康を保つことも、インプラント周囲炎を起こさない予防策として重要となります。インプラントを守るために歯科医院の定期検診を活用して、インプラントや口腔内の状態を常に確認しておきましょう。