インプラント治療の失敗例からみる原因とは
インプラント治療を受けるにあたり、手術や治療が失敗しないか不安になる方もいらっしゃるでしょう。インプラント治療も失敗する可能性はゼロではないため、失敗例や原因は知っておきたいものです。本コラムでは、インプラント治療の失敗例と原因や、セルフケアでできる失敗のリスクを減らせるポイントを紹介します。インプラント治療が不安で治療を決断できない方は、ぜひ参考にしてください。
インプラント治療の失敗例と知っておきたい3つの原因
インプラント治療の失敗は、主に3つの原因で起こります。
・インプラントが適切に埋入していない
・前処理やアフターケアが適切でない
・院内の衛生状態が悪い
まず、インプラントが適切に埋入されていないと、インプラントと骨が結合しない場合(オッセオインテグレーション不良)があります。これは、インプラントの位置や角度が不適切だったり、骨の量や質が不十分だったり、感染や炎症が起きたりすることで引き起こされます。次に、インプラント治療は外科手術である以上、さまざまな合併症が起こる恐れがあります。そのため、術前には検査や診断を十分に行い、正しい治療計画を立てなければなりません。また、前処理やアフターケアが適切でないと、感染や炎症、インプラント周囲炎や上顎洞炎などの合併症が起こる可能性が高まるでしょう。
最後に、インプラント治療は高度な清潔度を要する手術です。院内の衛生状態が悪いと、インプラント治療中に細菌やウイルスなどの感染源に触れる可能性があります。これは、インプラント治療後に重篤な感染症を引き起こす危険性があります。院内の衛生管理は歯科医師やスタッフだけでなく、患者自身も意識しましょう。
失敗のリスクを低減する「3つの重要ポイント」とは
インプラント治療で失敗しないためには、3つの重要ポイントをおさえておきましょう。1つ目は「医院選び」です。CTがあるか、手術室の衛生環境は整っているかなどをチェックしましょう。治療実績や口コミから、医師の技術力を確認しておくのも大切です。
2つ目は「リスクの把握」です。歯槽膿漏(しそうのうろう)や糖尿病は、口腔衛生に悪影響を及ぼしインプラント治療の失敗リスクを高めます。また、治療後の定期検診を怠るのも、インプラント周囲炎につながるリスクがあります。インプラント治療は外科治療のため、リスクはゼロにはなりません。リスクを高める疾患がある場合は、入れ歯なども検討しましょう。
3つ目は「医師の指導を守る」点です。インプラントの寿命を維持するためにも、医師から禁煙や定期検診に通う指示が出た場合は守りましょう。インプラント周囲炎は、喫煙が原因の一つです。喫煙者がインプラント周囲炎になると、保証が受けられない可能性があると知っておきましょう。
Q1:インプラント治療で死亡事故はありますか?
A1:2007年に東京のクリニックで死亡事故が発生しました。インプラント手術中に顎の下の動脈を損傷してしまったためです。手術の際にCT撮影を行わず、動脈の位置をしっかり把握していなかったのが原因でした。インプラント治療では安全対策としてCT撮影が有効なものの、義務ではないため、撮影せずにインプラント治療を行う歯科医院もあります。安全面からもCT撮影を行う歯科医院を選びましょう。
Q2:インプラント治療が成功したとして、どのくらいもちますか?
A1:平成26年に厚生労働省が発表した「歯科インプラント治療のための Q&A」によると、10〜15年の累積生存数は上あごで約90%、下あごで94%程度とされています。