かみ合わせ治療の重要性
歯の健康を意識するとき、虫歯や歯周病を重視される患者さまが多くいらっしゃいますが、実はそれ以上に重視するべきなのがかみ合わせです。かみ合わせ治療は歯科診療の基本であり、かみ合わせが悪いとさまざまな歯科疾患の発症リスクが高くなるため、実は注意が必要なのです。
人が咀しゃくをする際、歯だけではなく顎の関節や筋肉を使って動かしています。上下の歯が正しくかみ合っていれば、歯と顎関節、筋肉へかかる力がバランスよく分散して問題はありません。しかし、かみ合わせが悪い場合は特定部分にのみ負担がかかり、歯や顎関節に痛みが生じます。顎に負担がかかると、顎関節症を引き起こす場合もあります。また、一部の歯に負担がかかると歯がグラついたり、最悪の場合は抜け落ちてしまったりすることもありますので、かみ合わせの状態が歯の健康に与える影響は非常に大きいといえます。
もし虫歯がないのに歯が痛む場合は、かみ合わせに原因である可能性が高く、歯科医院で検査を行なう必要があります。また、かみ合わせは歯や顎の問題だけではなく、内臓や脳の健康にも関わります。かみ合わせが悪いと食べ物を細かく噛み砕くのも正常に行なえなくなり、胃に負担がかかってしまいます。その結果、消化不良などを引き起こして血流が悪くなり、体全体の不調へと繋がるため、歯や顎に違和感があった際は歯科医院を受診して治療を受けましょう。
かみ合わせの改善には矯正治療で歯並びを整えていきますが、矯正治療は審美目的での治療に分類され、保険適用外で全額患者さまの自己負担になります。そのため、基本的には高額な治療費となりますが、症例によっては別の病気を治す一環として矯正治療に保険が適用される場合もあります。先天性の疾患や顎変形症と診断された場合は矯正治療に保険が適用されますが、同時に顎の骨を切るなどの大がかりな外科手術も必要になる場合がほとんどです。
保険が適応される疾患や条件はかなり限定的であり、医療保険が受けられる施設も指定されているため、事前に調べておきましょう。